保育士さんはうつ病になる人が多いという噂がありますが、そもそもうつ病の理解がされていないこともあり、正確な統計は取れていません。
しかし、保育の人事経験・転職エージェント経験上、保育士さんはうつ病になる人の割合が、他業界に比べて多いような気は確かにします。
今回は、保育園の経営・人事で10年経験し、転職エージェントの資格もあり、たくさんの保育士をみてきた私が、”保育士のうつ病”についてお話しします。
はじめに
今回の記事は、既にうつ病になっている人へ向けた記事ではありません。
既にうつ病になっているのなら、こんな記事読まずに、すぐに通院を始めなければなりません。
私は医師ではありませんので、治療の方法はお話しできませんからね。
今回の記事は、「うつ病かになるかも…」とか「うつ病になりそう…」という、保育士さんがうつ病を回避してもらうための記事です。
日本人のうつ病
世界的には4%程度ですが、日本では8%程度が”うつ病の経験がある”と報告されています。
日本人が真面目すぎてうつ病になりやすい、というのが分かりますね。
また、更に真面目すぎて、うつ病の治療をしっかりと受ける人は25%程度とも言われており、治療すらしていない人が多いのです。
治療もせずに限界まで働いてしまうのですね。
しかも、自分がうつ病になったことがなかったり、うつ病の人と接したことがなければ、「うつ病=サボり病」と思われる風潮がまだまだある為、うつ病を発症しても限界まで頑張ってしまう人も多いです。
うつ病の症状を大まかにまとめるとこのような感じです。
うつ病になると、憂うつ、眠れない、食欲がない、落ち込む…というような症状がでます。それがすぐに治らず、長期間苦しむことになり、更に耐えられなくなります。そして、なぜ落ち込んでるのか、なぜ悲しいのかなど、そういうことも自分では分からず、どうしようもないスパイラルに入ってドンドン悪化してしまいます。
そして、これまでは気晴らしになっていた事でも全く気晴らしにならず、人と会うことも苦痛になってきます。
うつ病は段階的に症状が悪化していくため初期では自分で分かりにくいですし、心療内科に行くのが気が引けるという人もいます。
自力で立ち直れる人もいるので、これも病院に行かない原因の一つでしょう。
うつ病は人それぞれで症状が違いますし、種類も沢山あります。
自分で調べても分かりませんので、病院に行きましょう。
最初は内科でもOKですので、疑わしいなら病院に行きましょう。
保育士のうつ病事情
さて、保育士さんにうつ病が多いというのは、正確な統計が出ている訳ではありません。しかし、保育士の3割がうつ病を経験したというアンケートもあるようです。
本当に3割となると、30%ですので、日本人の他の業種と比べると3倍、世界と比べると7.5倍という驚異的な割合になります。
保育士さんの場合、人間関係がうつ病に直結する直接的なストレスになるでしょう。
一度クラス配置が決まればあまり動かせませんので、職員・保護者・子どもと相性が悪くても、最低でも1年間はひたすら毎日関わらなければなりません。
ここに長時間の拘束が合わさって、仕事もプライベートも両方とも充実しない毎日を送るとなると、うつ病などの精神疾患を抱える可能性が上がってきます。
長時間&長期間、人間関係に悩まされる…、保育士がうつ病なりやすいと言われるのも無理はありませんね。
早番や遅番、土曜日などは少人数で回しているところが多いですので、うつ病で具合が悪くなっても、急に代わりを頼めませんし、無理して早番や遅番を頑張ってしまいます。
特に早番は、急に欠勤するとは言いづいですよね…。しかも、理由が「力が入らないから」というのは、本当のことでも言いづらいです。
うつ病になりやすい保育士の特徴
保育士さんでうつ病になってしまう人はどんなタイプが多かったから、私の経験を思いだすと…
- 仕事ができすぎる
- 真面目すぎる
- 何でも自分でやろうとする
- 責任感が強い
- 人からの信頼や評価が高い
- 自分の意見や感情を溜め込み吐き出す時は爆発する
これで、うつ病がサボり病ではないと、ハッキリ分かりますよね。
仕事ができて、沢山仕事をしてしまうからこそ、自分を潰してしまうんです。
持ち前の責任感もあるし、空気も結構読めます、だから人からの評価も高くなるんですけど、サボれないんですよね。
性格が楽観的だとかは関係なく、仕事や責任が自分のキャパオーバーになればうつ病を発症してしまう可能性があります。
プライベートで発散できている内は良いですが、キャパオーバーになるとプライベートタイムでも仕事をしてしまい、発散もできなくなるんですよね。
あなたは保育園の最高責任者な訳じゃないんだから、自分のキャパオーバーにならないようにしましょう。
少しくらい仕事が出来ないフリしても良いですよ。
保育士がうつ病になると…
理由もなく悲しくなり涙が流れたり、体に全く力が入らず動けなくなったり、人と会いたくなくなったり…。
更には、治療して治ることすらどうでもよくなってしまい、薬を飲まなかったり、病院にも行かなかったりしてしまいます。
今までは、早番・遅番・土曜日などは特に、無理してでも出社していたのに、突然完全に動けなくなります。
うつ病が悪化すると、見たらビックリするほど通常の状態と全然違うので、流石に分かります。
それを見たり体験すれば、「うつ病=サボり病」とか間違っても言えなくなります。
一度こうなってしまうと、治るまでに時間がかかってしまいます。なるべく、予防や早期治療が重要です。
更に、良くなったと思ってもまた悪化し始めたり、治ったと思ってもまた再発したりと、完全にうつ病から逃れるのに、かなりの時間がかかる人もいます。
気がついたら、動けなくなりひたすらベッドの上、保育園も連絡が取れないと家族に連絡し、ある日いきなり家族と大家さんが部屋に乗り込んでくるということもあります。
保育士のうつ病回避
うつ病を発症しても早期ならまだ何とか動けますが、悪化すると動けなくなってしまいます。
それに、関東で一人暮らししている保育士さんなどは、家族に気づいてもらうことも出来ないので、自分でうつ病を回避しなければなりません。
また、「働かないと生活できないし…」と思ってしまいますが、うつ病が悪化すると長期間治療に専念しなければならなくなりますし、生活どころではなく人生的に危機です。
悪化するギリギリまで働くよりも、早めに治療した方が結果的には生活を維持できる可能性は上がります。
毎月給料から引かれている健康保険には傷病手当金というのもありますので、活用すれば何とか乗り切れることもあります。
特に私が見てきた保育士さんの中でうつ病になりそう人、と言うより、うつ病になりそうな時期は「仕事とプライベートの両方うまくいっていない」時期です。
うつ病になったかも知れないならば、まずは内科でも良いので病院に行きましょう。
日々のストレス発散は必須としても、”保育園での人間関係の再構築、保護者対応を上手くやる、改善が難しい場合は転職”と打てる手はしっかり打って、うつ病を回避しましょう。
特に保育園の保育士さん達の人間関係は、自分だけではどうしようもない時もありますので、無理は禁物です。
このままでは危ないと思ったら、”転職・異動・休暇”を検討してください。
傷病手当のリンクと、役に立つ関連記事を載せておきますので、確認してくださいね。
◯全国健康保険協会へのリンク▶▶傷病手当金
保育士が”うつ病”で転職する場合
この保育園では頑張っても、「うつ病になる…」もしくは「悪化する…」という場合は、取り返しがつかなくなる前に転職を検討しましょう。
悪化すると転職する気力すら無くなってしまいます。
まだうつ病になっていないけど、この調子ではマズイという場合は、転職を検討した方が無難かも知れません。
うつ病初期の場合
先程は傷病手当の話をしましたが、失業保険を選んでも良いですし、場合によっては労災も下りるかも知れませんので、ケースバイケースで考えましょう。
早期発見の場合で、うつ病を発症している、しているかも知れない、という場合は、無理に正社員で復帰しなくても良いです。
「まずは6時間のパートで入社して、うつ病が治ったら正社員に登用してもらう」など、色々と交渉をして、優先的にうつ病を治しましょう。
6時間と言うのは、今後のことを考えると、社会保険に入っておいたほうが良いと思われるからです。
1日6時間、週30時間で社会保険に入らなければなりません。
正社員だと休むのは厳しいし、早番遅番もこなさなければなりませんし、うつ病初期やうつ病の疑いがある状態で、通常の業務をこなすのは止めたほうが良いです。。
その点、パートはだいぶ安心です。
交渉が難しい場合は、もちろん転職エージェントを使えば大丈夫です。
代わりに交渉してもらえますし、更に都合の良い条件の保育園を探してくれるかも知れません。
保育士さんは体が資本です。自分の健康管理を最優先にして下さいね。
おわり
私は、うつ病の人の面接・うつ病の職員の対応・うつ病の人の転職支援と色々と経験しましたが、本当にうつ病になると本当に長い時間苦しまなければいけません。
特に、一人で色々と仕事を抱え込む保育士さんは、要注意です。
体に不調を感じたら、病院へ行って、”転職・異動・休暇”を検討してください。