クレームが続いたり、大きなクレームが来ると、「もう辞めたい…」ってなります。
辞めたくなっているのにクレーム処理の勉強しても仕方ないと思うかも知れませんが、クレーム処理の知識や能力はどこの保育園でも必要になります。
私も、保育園の経営を担当していた時は、かなり色々なクレームに遭遇しました。
今回の記事で、クレームから逃げるだけでは不十分だということを理解して、嫌だけどもクレーム処理の知識を身につけるべきだということを分かっていただければと思います。
保護者のクレームで辞めたくなったら
日頃から色々なストレスに囲まれてギリギリで働いているところにクレームまでくると、辞めるキッカケになってしまうかも知れません。
保護者のクレームがキッカケで辞めるというのは、どうなんでしょうか?
辞めるのも手だがスキルアップできない
保護者にも色々ですし、訳のわからない保護者というのは確かにいます。モンスターペアレンツとかクレーマーいう人ですね。
保護者とは何年も付き合っていかないとなりません。兄弟とかいる場合は、下手すると10年位同じ保育園に通うこともあります。
モンスターとかクレーマーと10年付き合うのは流石に辛いですよね。辞めたい気持ちは分かります。
しかし、保護者対応が仕事の一部である保育士の場合、逃げ回るだけでは行き詰まります。
遅かれ早かれクレーム処理スキルは必要
クレーム処理をするスキルは保育士には必要です。
クレームから逃げて転職を繰り返すと言っても限界がありますので、クレーム処理のスキルを身につけたほうが良いと思います。
というか、保育士を長く続けるなら、遅かれ早かれ身につけなければなりません。
経験を重ねると、部下や後輩、未経験者と共に働くことになります。
そうなると、前にでなければならないタイミングは来ます。クレーム処理を新人に丸投げするなんて、モンスター保育士ですからね。
クレームが来てしまって辛いかも知れませんが、これを機会に一度クレーム処理について勉強してみませんか?
せっかくの機会です。スキルアップのチャンスと捉えましょう。
保育園へのクレームの種類
保育園に寄せられるクレームは、小さいものまで合わせると非常に沢山あります。
連絡帳にさらっと書いてあるものから、話し合わないといけないもの、園長が出てこないと収まらないもの、役所も絡んで大きな問題になるもの…。
しかし、クレームには3種類しかありません。
チクチク型
文句をいうのが趣味みたいな人いますよね。
保育士にもいると思います。ひたすら他の保育士や保育園の文句を言う人。
他にも、めちゃめちゃ被害にあった訳でもないのに、ワザワザ悪い口コミを書く人もいますよね。後は、飲食店で態度がデカくなる人とか。
このチクチク型の保護者は、とにかく小さいことをずーっと言ってきます。
基本ほめることはなく、アンケートを取れば「強いて言えば…」ということで文句を書いてきます。
とにかく文句…というかダメ出しをするのが好きなので、こちらが完璧にしていても何かしら言ってきます。
ただ、逆に大きなクレームに発展することもないので、ぶっちゃけ気にしないで、ニコニコ受け流すのがこちらの基本対応になります。
モンスター型
少しのことで大げさに怒ったり、「そこ!?」みたいな変なポイントで怒ったり、被害妄想が強すぎて勝手に怒るタイプ。
真のモンスターは、もう病気みたいなもので、どうしようもありません。とにかく怒らないように丁寧に対応するのが一番です。
ヒステリー型モンスターというか、一時的にモンスター化する人もいます。こういう人は、こちらの対応に問題があると爆発します。そして、その爆発の仕方が普通じゃないというわけです。
保育士を辞めたいと思うほど辛くなるのは、大抵はこのモンスターによるものですね。
保育士のせい型
保育士が変な回答をしたり、間違った情報を伝えたり、保育士や保育園側に問題があるとクレームに発展するタイプです。
こういうのが本当のクレームです。
「文句言うなら辞めろよ」と思う気持ちもあると思いますが、「ちゃんとしないなら、お前が辞めろよ」と向こうも思っているんですよ。
このクレームにはしっかりと対応出来るようになりましょう。いや、予防できるようにしましょう。
保育園でのクレーム予防と処理の基本
保育園では、毎日毎日保護者と顔を合わせます。
小学校とかなら、先生と話す機会は少ないので、クレームを言うのも少し手間です。しかし、保育園は話す機会が多いので、クレーム数も必然的に増えてしまいます。
日頃の保護者との会話や連絡帳などからクレームに発展することも多いですが、クレーム予防と処理について基本をお教えします。
保護者は保育園初心者だと知る(予防)
我々保育園側は、保育園のことは分かっていますが、保護者は保育園がどんな場所なのか分かっていません。
めちゃめちゃ当たり前のことも分かっていないのです。私達からすれば常識でも、保護者からすると未知の世界なのです。
ちょっとしたことでも説明してあげないといけません。
何度も説明して飽きているかも知れませんが、保護者も初心者です。しっかりと配慮してあげましょう。
知ったかぶりをしないこと(予防)
知ったかぶりによるクレームは結構多いです。
保護者から質問があった時に、答えられない方がマズイと思って何とか頑張って答えても、それが間違っているとクレームになります。
少し勇気はいりますが、知らんことは知らんと言ったほうが良いのです。
例えば、子どもが怪我をして、傷が入ってしまった時に、保護者が「この傷消えますかね?」と聞かれても、その後の保護者の対応などによっては長い期間残ることがあります。医師でもないのに「消えると思いますよ~」とテキトーに返事をすると、傷が消えなかった時や消えるのに時間がかかった時に「消えるって言ったじゃないか!」とクレームになります。
回答は正確にする。これ以外は無駄なことです。
十分な知識を身につけるまでは、変に知ったかぶりをしないで、確認してから回答しましょう。
十分な知識を持つこと(予防&処理)
知ったかぶりをしてはいけない…と思って、ひたすら「分かりません」と言っていたら、そのうちクレームになります。
特に保育指針や自分の園の規則については、しっかりと学んでおきましょう。
保護者の希望の回答ではなくても、しっかりとした決まりに基づいて回答していれば、モンスター以外の保護者は受け入れてくれます。
「なぜ保育園がこういう対応をしているのか?」など、しっかりと理解しておかなければなりません。
それに、自分たちがしっかりと回答していれば、もしクレームが収まらなくても、そのクレームは上司の元へ飛んでいきます。
保護者を「保護者という何か」と思わないこと(予防)
保護者のことを、つい保護者という1つの生命体のようなものだと思ってしまいます。
分かりにくいですよね。すいません。
例えば、「水遊びで子どもが怖がって泣くから辞めて欲しい」という意見と「もっともっと水遊びをして欲しい」という意見と、相反する意見が飛び交います。
こうなると、保護者って訳わからんと思ってしまいます。
訳わからんと思ってしまうのは、色んな保護者を保護者という1つの何かにまとめてしまうからです。
保護者は全員別々です。全員意思が違います。
これが分からないと、意見やクレームが出る度に余計にイライラしてしまいます。
謙虚かつ毅然であること(予防&処理)
押しに弱かったり、保護者のためを思って特別扱いしたりと、例外を作ってしまうのもクレームの元です。
「今回だけ特別ですよ~」とか言って保護者が喜ぶと気持ちいいですが、そのせいで今回だけと言ったのに「前はしてくれたじゃないか!」とクレームになったり、他の保顔者が「なぜあの家庭にはして、ウチにはしてくれないんだ!」というクレームになったりします。
保護者対応は態度は謙虚に行いながらも、特別扱いしたりせず毅然に対応しましょう。
善意で何かをしてあげても、保育園全体の規律を乱してしまうことも多々あります。
あなたを受け入れますよ感(処理)
「でも、私は悪くない!」「保護者の勘違いだ!」と戦っても無意味です。
論破するのではなく、気持ちは受け入れるけど断るという遠回りが必要です。
人の怒りは5分で落ち着くと言われています。もちろん、ここで対応をミスるとまた5分延長です。
まず、この5分をしっかり保護者の聞いて、それから「あなたの意見は凄く分かります」と保護者を受け入れている感じを出しましょう。
ただ、それでも答える内容は、謙虚かつ毅然でなければなりません。
嫌いな保護者こそ接する(予防)←重要!
モンスターっぽいとか、常にごちゃごちゃうるさい保護者だと、つい避けてしまいます。
しかし、この特定の保護者を避けることが大きなトラブルになる原因になるのです。
というのも、避けるようになると、会話も最小限、内容も当たり障りない中身のないことしか話さないようになってしまいます。
そうすると、肝心なことを言い忘れたり、念押ししておかないといけないのにしなかったり、いわゆる保護者との連携を失敗してしまうのです。
苦手だなと思ってる保護者とどんどん仲が悪くなりモンスター化させてしまうのです。
嫌いな保護者と積極的に接するのは凄く辛いと思いますが、これが出来ないとクレームはずーっと出ます。それどころか、保育園が保育士がモンスターペアレンツに育ててしまうんです。
保育は保護者のご機嫌取りではなく、子供のためにあります。
保育士は専門職。スキルアップは避けられない
保護者対応は、保育士をする中で避けられないことです。というか、保護者対応も仕事の1つです。
それに、他の業種に転職してもクライアントやカスタマーが居ます。お客様対応ですね。
もしかすると、今、クレームで辞めたくなっているのかも知れませんが、転職前に少しスキルを身につけてみると良いと思います。
せっかくの機会なので、スキルアップして転職しましょうね。
実際に保育園で受けた面白いクレーム
もちろん真摯に受け答えしましたが、どうしても面白かったクレームを一部ご紹介します。
クレーム処理して「面白かったな~」と思えるくらい、貴女もクレーム処理スキルを身につけてくださいね。
クレーム処理も慣れるとと楽しいですよ。
とりあえず、「世の中いろんなクレームがあるんだな。」「私だけが変なのに引っかかった訳じゃないんだな。」という感じで、少しの安心の足しにして下さい。
◯散歩でどんぐりを拾ってくるな!食べられないだろ!
◯うちの子だけ特別にピアノ教室をして欲しい。英会話教室をして欲しい。
◯ピアノは高いピアノのにしろ!できればグランドピアノがいい!電子ピアノでは耳が腐る!
◯(帰宅途中に怪我して)家に帰るまでが保育園の責任だ!
◯近所にゲームセンターがある。教育に悪い!閉店させろ!
◯運動会が、小学生の兄の行事と重なっている。日程変更しろ!
◯靴下が破れていたぞ!ウチの子どもがイジメに合っている!
(公園で枝に引っかかって破れただけ)
◯気に入っていた保育士が辞めた!職員間でイジメがあったのか!?
(結婚して退職しただけ。保育士の都合で結婚は公表しなかった。)
◯小麦アレルギーの人もいるからパン食い競走を辞めろ!
→【飴食い競争に変更】
→食べ物を競技に使うな!
◯おやつを食べられなかったらしい!保育士から虐待を受けている!
→【その子の好みのおやつではなかったようだが、食べていた】
→うちの子が嘘をついているというのか!うちの子は今まで嘘をついたことはない!
(その子は結構嘘をつく子)
こういうことを、本気のトーンで怒ってくるので、たまに保護者を目の前にして笑ってしまいそうになります。
おわり
保護者からのクレームが辛くて辞めたいと思ったなら、辞める前にクレーム処理のスキルを身に着けましょうという話でした。
もちろん、自分の精神が病みそうなら、早めに転職して心機一転して頑張った方が良いですからね。
でも、自分が後輩達を守る立場になったら、クレームは率先して対応しなければなりません。
クレーム処理も保育士スキルの一つだと思って、勉強してみましょう。