書類多すぎなんですけど・・・!
それに、保護者や保育の仕事をしたことがない人は、保育士が書類に苦しめられているなんて全く知りません。
保育園が備える種類は、減らすことが出来ません。
しかし、保育園の運営側に書類の知識・理解がないと、必要のない書類を作らされていたり、書類を作る時間をシフト中に組み込んでいなかったりと、とにかく苦しめられることになります。
今回は、書類の存在理由や書類から逃げるすべはあるのか?というお話です。
保育園に備える書類は規則で決められている
まず、保育園で書かされる書類は、何となく書かされている訳ではありません。「保育園を運営する場合は、これらの書類を備えること」と行政が決めた規則があります。
それに従って保育園では書類を整備している訳ですので、この書類から逃れる方法はありません。
しかし、逃れられなくてもやり方はあるはずです。
それらを考える前に、まずはどのような書類を整備しなければならないかを確認してみましょう。
保育士さんに直接関係のある書類一覧
区などによって、追加で備えるように言われる書類もありますが、どこの保育園でも整備しなければならないのは、以下の書類です。
- 防災訓練の記録
- 指導計画
- 児童出欠簿
- 保育日誌
- 児童票
- 保護者との連絡帳
- 児童の健康診断記録
- 0歳時の日々の健康記録
- 事故簿
- その他(園だより、行事の記録、SIDS対策の午睡チェック表、ヒヤリ・ハット、職員会議の議事録など)
他にも、園長や経営側、栄養士、看護師などが準備すべき書類が沢山ありますが、保育士さんが用意すべき書類はこの辺りです。
「これらの書類が何を指しているか分からない」、「他人に説明しろと言われると自信がない」という場合、ちょっと問題ですね。きちんとした指導を受けていない可能性がありますし、保育士を続ける上では知っておかなければなりません。
これらを整備するのは、規則なので逃れようがないことですが、まずこの時点で大きな問題があります。
問題になるポイント
保育園に備える書類は待っていても、その様式が自由ということです。この様式が自由というところで、問題がおきます。
つまり、やたらと簡素化しても良いと言えば良いし(役所の人に内容が薄いと指摘はされます)、やたらと書く量が多くても良いんです。
むしろ、書く量が多いほうが役所には好まれる傾向にあります。
様式が自由ということは、保育園の運営側の考え方に全てがかかっています。保育園によって、簡素化する方針と沢山書く方針に分かれるということは、まず覚えておいてください。
書類に不満が出る原因
先程の保育園が備えるべき書類は、どこの保育園でもほとんど変わりません。そして様式が自由なせいで、保育園の考え方によって、書く量に差が出てきます。
そして、更に、以下のことが原因で、更に不満が増してしまいます。
シフトが保育のみで組まれていて、書類を書く時間が設定されていない
書類にはもちろん締切がありますよね。
来月の指導計画(月案)を、次の月になってから作っても仕方ありませんし、避難訓練が終わって何ヶ月も経ってから記録を作ろうにも覚えてません。
苦手かどうかにもよりますが、大抵の保育士さんは、一番大変なのは児童票(の中の発達記録)になるでしょう。
しかし、これらの締切つきの大変な書類を書くための時間が、確保されていない保育園が結構あります。
つまり、「空いた時間に良い感じに終わらせろ」という風潮で、時間の管理はしないということです。
こういう管理では、日々の保育だけで時間に追われて疲れ果ててますから、締切間近になって焦って頑張るしかありません。
そうなると、保育の隙をついて少しづつ書いたり、残業したりすることになります。そして、ブラックの場合は、休憩時間を返上したり、持ち帰り仕事にさせられたり、サービス残業にされたりするわけです・・・。
これは当然、不満に繋がります。
変な呼び方になっていて何が何だか分からない
月案とか週案とか年カリとか言いますが、月案は「月間の指導計画」で、週案は「週の指導計画」で、年カリは「年間の指導計画」です。
これらは略称として浸透させて問題ないのですが、略す必要がないものも略したり、何かカッコつけて別の名前にしたり、伝言ゲームみたいになって名前が変なものになったりします。
例えば、「0歳の日々の健康記録」を、「ベイビーファイル」とか「赤ちゃん記録」とかにされると、訳が分かりません。
これが様式自由の恐ろしさなんですよね。
変な呼び方になっていると、本やネットで調べても分かりませんし、変な呼び方と正式名称の2種類を覚えなければなりません。
こういう無意味な手間は、不満に繋がります。
ちゃんと教えてもらえない上、書き直しが多い
防災訓練や行事の企画・記録については、まあイベントのようなものなので少しは我慢できますが、指導計画や児童票で書き直しが連発するとやる気が失せます。
しかし、書き方をしっかり教えてもらったのか?という点が非常に重要です。
教えてもらったことが出来ていなくて、書き直しをさせられるのは納得できますが、教えてもらってないのに書き直しをさせられるのは耐えられません。
辛いことでも、あらかじめ言われていれば、納得できるものです。
こういう丸投げ的な指導は、不満がたまります。
園長や経営側が書類を分かっていない
書類を書く時間を確保してくれていない、変な呼び方の書類になっている、指導方法が確立されていない。これらも充分、園長や経営側の問題なのですが、これ以外でとても問題なのは…
上が書類を理解していなくて、不必要な書類が増えること。
子どもや保護者のためにあえて追加することもあると思いますが、役所の調査や他の人から聞いて、既に類似書類があるのに、何となく追加してしまうことがあるんです。
こうなると、ただでさえ多い書類が、更に増えていってしまいます。
そもそも書類を追加する必要がなかったり、様式をちょっと変えるだけで良かったりします。
「何回、同じこと書くんやー!!」となったりして、不満に繋がります。
書類仕事の不満対策
さて、書類の種類や、書類が原因の不満について説明していきましたが、ここからは「どうすれば解決できるか?」について考えていきます。
ただ、ここからは、自分たちで改革していくか転職するかという二択しか結論はありません。
しかし、考えておくことで、改革するにしても転職するにしても、それらの助けになります。
書類の時間をシフトに組み込む
書類を作成する時間をあらかじめシフトに組み込むというのは、最も必要なことでしょう。
問題は、同じ時間をみんなに与えても、その時間内で終わる人と終わらない人が出てきてしまうことですね…。
書類を作る能力は人それぞれですから、管理が難しいところです。
しかし、まずは全員に書類を作成する時間を与えなければ、始まりません。
役割分担する
仕事の種類が多い保育士さんにとって、役割分担が出来るかどうかは非常に重要です。
苦手なことに時間を取られ続け、得意なことで真価を発揮できないというのは、勿体無いです。
書類を書くのが得意な人に多めに任せたり、書類毎に分担したり、効率化を図る必要があります。
最近、ICT化とか言って、パソコン作業で書類を効率化させる動きも多いですが、結局はパソコン仕事にも得意・不得意が出てきます。
保育士さん達の意向をすり合わせる必要はありますが、役割分担による効率化は必要です。
様式の見直し(書類の種類は減らせないが、量は減らせることも)
- 保育士数に余裕があった時に作られた様式で、書くことが無駄に多い様式をそのまま使い続けているので、簡素化する。
- よく考えたらこれらの書類は統合できる。
- そもそもこの書類いらない。
見直せば、こんなのは沢山あると思います。
園長や経営側の人は嫌なのかも知れませんが、役所の保育士さん達は結構喜んで教えてくれる人も多いです。
私も、初めて保育の経営部署に行った時は、役所の人たちに園に来てもらって、書類の種類や意味を全部教えてもらいました。(役所によると思いますが)
これまで様式の変更をしたことがないのであれば、一度取り組むべきでしょう。
園長・主任の書類に対する考え方
さて、最後に、書類を管理する園長や主任にも色々な考え方の人がいますので、それをご紹介します。
書類はテキトーで良い派
とりあえず、「備えるべき書類を用意しておけば、書類のクオリティーはテキトーでOK!」というタイプ。
質の悪い書類でもOKがもらえるので、保育士さんにとっては良いかも知れません。しかし、子どもの成長や保育士のスキルアップの面からするとNGです。
保育は、計画して実行して反省して次に生かしていきます。これは、ビジネスでは常識のPDCAサイクルです。
◆ちなみに
PDCAサイクルとは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返すこと
「書類に時間をかけるくらいなら、保育で頑張ろ~!」という姿勢だと思いますが、保育は書類は欠かせません。計画や記録は絶対に必要なことです。
書類の簡素化も必要ですが、重要なことですので、書類を書く能力はしっかり身に付けて欲しいと思います。
何かを管理する場合(保育園の場合は子どもや保育士)は、必ずやるべきことで、いい加減でいいという管理者は、ぶっちゃけ管理者失格であると言えます。
書類をめちゃめちゃ重視する派
さっきとは逆で書類に熱意をかけすぎなタイプもいます。
PDCAサイクルは必須のことですので、書類を軽く見てはいけません。しかし、それを重視しすぎて、書類に時間がかかりすぎるのも問題です。
「計画だけは一人前だけど、実践不可能」なものになったり、「書類の修正が多すぎていつまでも終わらない」なんてことになります。
ただの頭でっかち(考えるだけで動けない)になってしまうのは、良くありません。やはりバランスが重要です。
自分がやられたから厳しいだけ派
これが一番ダメなタイプです。
特に根拠もなく、知識もなく、ただ自分が厳しく育てられたから厳しいという人。おそらく、時代が変わっていることに気づいていません。
保育士不足で無かった時は、「代わりはいくらでもいる」という感じで、書類を延々直させたり、サービス残業を強要するイジメが多かったです。これは思いっきりパワハラなのですが…
こういうタイプの人が上司になると、不幸としか言いようがありません。残念ながら、転職が最善の方法と言えるでしょう…。
おわり
まとめを書きたいところですが、結構長くなってしまいましたので、簡単に。
- 書類の整備は義務
- 様式は自由なので簡略化できる
- 改革か転職で解決しよう
- 書類に対する理解のある保育園を選ぼう
改革する場合は、今日の内容をしっかり理解してがんばりましょう。もっと細かいところまで勉強する必要もあると思います。
転職する場合は、書類に対する考え方を事前に聞きましょう。聞きづらい場合は、やはり転職エージェントに聞いてもらいましょう。おすすめの転職サイトのランキングを参考にしてください。
また、自分の保育園の書類に対する考え方で疑問があれば、当サイトのお悩み相談もどんどん使ってください。