10園や100園を運営している大きな会社なら、園長は小さい店舗の雇われ店長的なレベルで、大きな権力は実質的にないとも言えますが、現場にとっては大きなな存在です。
そして、もし園長が保育園の設置者(俗に言う社長)の場合は、絶対的な権力者になります。
雇われ園長なら園長の上司に相談することも出来ますが、園長が最高権力者の場合は直接対決か転職しかありません。
もし園長が訳の分からん人だった場合、対処法は限られてきます…。
今回は、保育園の経営&人事で10年働いてきた私が、園長の上司であった経験を元にお話します。
園長が訳わからん!
ちなみに、保育園は正式には保育所、園長は正式には施設長ですが、とりあえず保育園と園長という表現で統一します。
さて、園長も人です。全ての人と相性が良いなんてことはあり得ません。
私も10年の経営部署に居た経験や、職業紹介の経験の中で様々な園長に会いました。
確かに、「こいつ訳わからんなぁ」という人も少なからず存在しました。
上司の器がないにも関わらず、権力を持ってしまったからでしょうか…。
私が会った園長の少し変わった園長
せっかくですので、私の経験の中で出会った少し変わった園長、いわゆる「訳わからん園長」を列挙していきます。
部下の意見丸呑みで放置園長
保育経験がないのか、自信がないのか、主任やクラスリーダーの意見は全てOK。「うん、良いんじゃないかな」みたいな事を言うだけで、自分の意見は無し。
次年度のクラス配置もみんなの意見を擦り合わすだけ。
リーダーシップの有無や経験や能力のバランスを考えず、みんなの希望をまとめるだけ。
園長が部下に意見を言われた時に反論できないのか、園長が完全なお飾り状態。
これでは、保育士の統率が取れず保育園は崩壊します。
ある年齢層を極端に嫌う園長
30代前半の年齢を極端に嫌う園長もいました。理由は、結婚・出産して辞めるからだそうです。
結局、その年齢層に対する差別のようなことをしてしまうため、結婚したり、妊娠したら、いじめのようなことをして、退職に追い込みます。
よって、結婚後にパートとして続けて働きたいとか、産育休後に復帰したいという人が居なくなり、慢性的な人手不足に陥ります。
マタハラ園長
前述の園長と少しかぶりますが、妊婦に厳しい園長もいます。
園長が、男性の場合と自分に子どもがいない女性の場合と、それぞれマタハラ園長を見かけましたので、性別は関係ないようですね。
どうせいなくなると勝手に決めつけ、仕事を何もさせなかったり、「こんな忙しい時に来れないなら辞めれば!?」と言ったり。
マタハラは違法ですし、何より保育園が1人欠けるだけで全然違います。
もし妊娠・出産で一年間いなくなっても帰ってきてくれるなら、その保育士は保育経験者でありその園の経験者であり、更に子育て経験者なのですから、そんな人材を辞めさせる選択をするのは無能の証です。
パワハラ園長
私が会ったな中では、男性の園長でした。とにかく、キレたら怖い。暴力的。飲みの誘いを断ると機嫌が悪くなる。
部下が萎縮してしまい、チームワークが取れていませんでした。
パワハラも違法です。自分の感情を抑えられないのも無能としか言いようがありません。
いい顔するだけで問題放置園長
人間関係を悪化させている問題保育士や、言うことを聞かない駄目保育士がいても、とりあえずの注意をするだけで改善が見られない。
そんな状況なのに、園長は「注意はしているんですけどね…」と言うだけで、言うことを聞かせようとしない。
言うことを聞かせるのも上司の仕事ですし、部下を守るのも上司の仕事です。
責任転嫁園長
「会社の方針で…」「それは主任の判断で…」「新入社員のミスで…」など、とにかく言いたくないことや失敗を、他人のせいにする園長も多くいました。
会社の方針だとしても、主任の判断でも、全ては園長が責任を持って行うものです。
新人のミスという言い訳は最低です。新人を育てることも仕事なのですから。
気分屋園長
日によって機嫌が良かったり、悪かったりする園長です。
やたらと雑談をしてきたかと思えば、次の日には無視されたり。
栄養士の献立に毎週月曜日はカレーにしろと指示している園長もいました。
こういうのは完全に訳が分かりませんね。
園長が訳が分からない場合の対処法
園長は責任者。自分の感情だけではなく、全体を見て、数年先も見据えて、責任を持った行動をしなければなりません。
たしかに、園長からすれば酷な話でしょうが、それでも園長という道を選んだのであればそうするしかありません。
園長は現場の責任者であり、様々な決定権も持っています。もちろん、その分給料も良いわけです。
大企業の支店長的扱いの園長でも、現場の状況を捻じ曲げて報告できます。
園長が訳が訳の分からない人の場合は、転職するしか無いかも知れません…。
それでも!だとしても!仕返ししたい!
そう思ったのなら、大変な覚悟をしなければなりません。とりあえず、転職以外で4つの対処法をお話しします。
人事部に掛け合う
企業であれば、保育士不足を受けて、保育士の離職防止に命を燃やしています。
よって、1つ目の対策は人事部に話を持ち込むことです。社内の苦情窓口もあるでしょう。
しかし、企業からすると園長も重要な保育士&人材です。
もしあなたが平の保育士で、園長と1対1の問題であれば、最終的にどちらを大切にされるかは明白です…。
苦情が多く集まらない限り、思い通りの対応をしてもらうのは難しいです。
園長を倒すつもりなら、他の保育士達と協力して、みんなの沢山の苦情を集めて人事部に相談しましょう。
そうすれば、「この園長を辞めさせたほうが、逆に保育士不足が解消できるんじゃないか…」と思ってくれるかも知れません。
法的紛争をする
2つ目の対策は、違法性があるなら労働基準監督署(労基署)に問題を持ち込むことです。
労基署を利用する場合、こちらは仕返しをするだけです。労基署は違法性のある会社の指導などが中心です。完全に相手を困らせるためだけにすることです。
また、3つ目の対策は、ストレスによって病気になったりした場合に限りますが、弁護士を使って損害賠償&慰謝料請求をすること。しかし、これは、その根拠となる証拠が大量に必要です。また弁護士を使うのなら費用も必要です。ただ、弁護士が引き受けてくれるかも怪しいですし、費用も数十万はかかります。
もしくは、4つ目の対策として使えるのが、労働局の紛争調整委員会によるあっせん。これは、便利なシステムで、無料で弁護士が間に入り、保育士と保育園の要望をすり合わせ、慰謝料的なもので解決を図ってくれます。
しかし、この制度の根本的な欠点は、保育園側が欠席しても何のお咎めも無しだと言う点。無料サービスなので、仕方ありませんが、あっせんに申し込んでも、保育園側が欠席されれば何も出来ません。
転職がベスト
紛争しようとしても、時間・手間・お金がかかりすぎて、あまり割に合いません。
ムカつく気持ちも分かりますが、ここはぐっとこらえて、その手間と時間を転職に回すのがベストです。
会社経営の場合は、園長の後ろに会社がついていますし、顧問弁護士もいるでしょう。弁護士とかが出てくると、戦いは長引きますし、証拠集めも大変です。
「争いは何も産まない」と自分に言い聞かせて、サッと転職しましょう。
「それじゃ泣き寝入りじゃないか!」と言いたい気持ちも分かりますが、保育士が保育園相手に戦う場合、一人では厳しいです。複数名で戦えないなら、残念ながら人生的には泣き寝入りが最も効率が良いのです。
最近は保育士不足ですので、転職は容易です。ストレスを抱え込むより、転職をすることでこれ以上のストレスを溜め込まず、新天地を目指したほうが身のためです。