初めての就職から3年、5年、10年と経過すると、やはり転職がチラつきます。また、普通に結婚や出産などで退職をせざるを得ない状況に直面する場合もあります。
初めて長く勤めた場合、「そういや退職金ってあるのか…な?」と思いますよね。
私立保育園で働く場合、イメージと全然違う可能性がありますので、注意しましょう。
実は、退職金をもらえない可能性も結構あるんです。
退職金が重要だと思うなら、この知識を使って次の転職時に役立ててください。
保育園の退職金事情
公立保育士は公務員ですので、退職金はありますし、しっかりとした規定があります。よって、今回は、私立の保育園で勤める保育士さんを想定してお話します。
まず、必ず知っておかなければならないのは、会社が規定していなければ、退職金は支払い義務がありません。
一般的な大企業の場合は退職金を導入していることは多いですが、そもそも会社(保育園)は退職金を導入する必要がないということなんですね。
退職金制度を導入している保育園が少ない訳でもありませんが、退職金を導入する義務がないことは覚えておきましょう。
それでは退職金の細かい部分について見ていきましょう。
保育園の退職金基礎知識
退職金の制度があるのかないのか?退職金の種類はなんなのか?いつもらえるのか?いくら貰えるのか?の順で説明していきます。
退職金を導入しているかどうか(もらえるかどうか?)
まず最初に、そもそも退職金制度を導入しているかどうかを調べましょう。
保育園の運営が、社会福祉法人であれば、高い確率で退職金制度を導入していますので、他の職員に軽く聞くだけでも分かると思います。
保育園の運営が、株式会社や他の形態の会社であれば、退職金制度を導入しているかは予想できません。
一人でコッソリ確認したいなら、入社時に貰った「労働条件通知書」か「雇用契約書」を確認しましょう。どちらも同じ目的の書類ですが、雇用契約書の方が一般的だと思います。
ここに、退職金の有無や退職金の規定が書いてあると思います。
しかし、会社の規定に現在も書いてあるか確認するのが一番確実です。
◆会社の規定とは?
- 就業規則
- 賃金規定
- 退職金規定
就業規則に記載されていない場合もありますので、その場合は賃金規定を確認しましょう。退職金規定は存在しないこともありますが、もしあればコレです。
これらの規定は、法改正に対応するため意外と更新されています。また、困った保育園では特に周知せずに更新されていることも多いので、現在の規定を見る必要があります。
退職金の種類
雇用契約書や就業規則で、退職金があることが分かったら、次は退職金の種類を確認しましょう。
会社の形態や方針によって、退職金にも種類があります。
社会福祉法人や株式会社、その他(有限会社・合同会社など)によって、導入する退職金が変わってきます。
それらを確認していきましょう。おそらく以下のいずれかに加入しています。
- 福祉医療機構の退職手当共済事業
- 東京都社会福祉協議会の従業者共済会
- 勤労者退職金共済機構の中小企業退職金共済
これの何に加盟しているかを確認しましょう。
退職金をもらう条件
基本的に1年以上勤めることでもらうことが出来ます。会社によって3年後に設定しているところもあります。
また、年単位で支給される額が変わってきますので、例えば2年10ヶ月でやめるより、あと2ヶ月頑張って3年分を貰うのが良いです。
退職金が支払われる時期(いつもらえるのか?)
次に、いつもらえるのか?です。
手続きにどれくらい時間がかかるかによりますが、概ね退職から3ヶ月後と思っておくと良いでしょう。
退職金請求の申請、そして確認や事務処理を総合するとこれくらいの時間がかかると見ておきましょう。
退職金の金額例(いくらもらえるのか?)
これは何年働いたから幾らという簡単な問題ではありませんので一概には言えず、自分の給料や働いていた期間などで計算されます。
当然ですが、長く働くほど退職金は高くなります。
大きく額に差が出る訳ではありませんので、一つの退職金の制度から複数例をあげておきますので、参考にしてください。
◆前提:基本給145,000~159,999円の場合(手当を抜いた本俸)
◯勤続年数1年の場合:75,690円
◯勤続年数3年の場合:227,070円
◯勤続年数5年の場合:378,450円
◯勤続年数10年の場合:756,900円
(引用元:福祉医療機構の退職手当共済事業)
この場合は、だいたい月あたり6,300円くらいが貯まっていく計算になりますね。
基本給が高く手当が安い給与形態や、基本給が安く手当が高い給与形態もあります。
正確に自分がいくらになるかシミュレーションしたい場合は、以下のリンクから計算してみてください。
福祉医療機構▶▶退職手当金計算シミュレーション
保育園の退職金の裏の話
これでだいたい退職金については分かったと思いますが、社会福祉法人以外の株式会社その他では、退職金制度を導入していないことも多くあります。
その辺の理由についてと、おまけのお話です。
退職金制度を導入する理由、しない理由
保育士さん側からすれば、もう辞めるので貰えるものを貰ってから辞めようと思うことでしょう。しかし、保育園側からすると、辞める人のことはどうでも良いですよね。
では、なぜ退職金制度を導入する企業が現れるのでしょうか?
それは、「退職金がありますよ!と言って求人募集するため」です。
ではでは、求人で不利になるかも知れないのに退職金制度を導入しない企業があるのはなぜでしょうか?
これは考え方は色々ですが、良い保育園がやりそうな理由は「退職金を導入しない代わりに給料を上げるため」です。
もちろん、良くない保育園では、「辞める人のことはどうでも良いから導入しない」とか「手続き面倒くさいから」という考えもあるでしょうが…。
退職するだけでどこからともなくお金が湧いてくる訳ありませんよね。共済は積み立てと似たようなものです。貯めて渡すか、随時渡すかは保育園の方針です。
考えがあってやっている場合、退職金制度の有無だけで良い保育園と悪い保育園の見分けは出来ません。
貯金が下手なら退職金がある保育園を選ぶのがおすすめですね。
保育士さんの退職金の使いみちの注意点
これは、あまり気にしなくても良いかも知れませんが、税金があります。住民税ですね。
この住民税は、昨年の年収ベースで計算されます。転職しない場合、退職金を使ってしまって貯金もなければ、住民税が払えないという地獄を見る可能性があります。
退職後にスグに転職しなかった場合は、注意しましょう。
退職金が消える!?
最後に恐ろしいお話です。
先程少し話しましたが、就業規則等は法改正などに合わせて変わります。
ということは、入社した時は退職金制度があっても、いつの間にか退職金制度が撤廃されるという可能性もあるのです。
制度が変わる時は、職員に周知されるハズです。もしくは雇用契約を更新するかも知れません。
自分には関係ないだろうと、あまり話を聞かなかったり、内容を読まなかったりするとトンデモナイことになるかも知れません。
おわり
- 退職金制度の導入は義務ではない
- 就業規則・賃金規定(・退職金規定)で退職金制度の確認をしよう。
- 退職金がもらえるのは退職して3ヶ月後ぐらい
- 退職金の金額は、ざっくり「6000円✕12ヶ月✕勤務年数」
というわけで、保育士さんの退職金のお話でした。
退職した後って、やはり状況が変化するのもですから、基本的には退職金があると助かりますよね。
今勤めている保育園でもし退職金制度が無ければ、もう諦めるしかありませんが、転職の際にはチェックポイントの一つにしましょう。