みなし保育士とは|子育て支援員・看護師・幼稚園教諭などが保育士にみなせる

みなし保育士とは|子育て支援員・看護師・幼稚園教諭などが保育士にみなせる

みなし保育士という言葉がありますが、何なのかご存知でしょうか?

正確には”みなし保育士”なんて資格や職業はもちろんありませんが、保育の現場にいるなら、ある程度は制度を知っておくべきですね。

今回は、俗に言う”みなし保育士”についてご説明します。

みなし保育士制度は、特例的な措置で、”止むを得ず”やっていることです。

もし、あなたの園が、特例を全力で使いまくってる保育園ならちょっと考えものですが、保育士不足の現状ではそこまで悪い制度ではありません。




みなし保育士の概要

みなし保育士というのは、厚生労働省が出した「保育所における保育士配置の特例」で決まった、保育士以外を保育士とみなすことができる制度です。

女性の就業率が上がって、保育サービスを利用する人が増えていますので、待機児童問題と合わせて、保育士不足問題が深刻です。

そこで、本来は保育士を配置しなければならないところを、保育士以外の人を配置しても良いということになりました。

国が特例を作り、自治体が実際にどうするかを決めています。

よって、この”保育所における保育士配置の特例”が、どこでも100%実施されている訳ではありません

みなし保育士になれる人

保育士とみなせる人は、以下の通りです。

  • 保健師
  • 看護師
  • 幼稚園教諭
  • 小学校教諭
  • 養護教諭
  • 家庭的保育者
  • 子育て支援員(地域型保育コース)
  • 保育所で保育業務に従事した期間が十分にある者(常勤で1年以上など)

これらに該当する人であれば、みなし保育士になれるという訳ですね。

何の資格も取らずにみなしになれるのは、家庭的保育者・子育て支援員・保育所で保育業務に従事した(略)…の3つです。

この3つの中では、子育て支援員研修を受けている人が多くなるのではないでしょうか。保育士資格がなくて保育園で働いている人などは、子育て支援員研修を受けさせられることが多いですからね。

これら3つの資格がなくてもみなせる人は、ここからは”子育て支援員等”とまとめて書いていきます。

ちなみに、子育て支援員とは、子育て支援員研修を受けた人です。

子育て支援員研修は4つのコースがありますが、みなし保育士になるには、地域型保育コースを受講する必要があります。

ただ、保育士資格を持っていない人がいつでも保育士にみなせる訳はなく、もちろん保育士にみなせる条件があります。

みなし保育士になれる状況や時間帯

みなし保育士は、あくまで特例であって、例外的な存在です。

限られた状況でしか保育士とみなすことはできません。

ここから少し難しいんですが、出来るだけ簡単にお話しします。

もし、もっと深く知りたい場合は、こちらのページをご覧ください。

さて、それでは、みなし保育士になれる状況や時間帯は以下の通りです。

  1. 0歳がいる場合は、保健師・看護師を1名みなせる。
  2. 朝と夕方の子供が少ない時間帯に1名みなせる。(子育て支援員等)
  3. 幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭を必要保育士数の1/3以下までみなせる。3歳以上や5歳以上の担当推奨。
  4. 児童定員に対する必要保育士以上を雇用する場合は、保育士数の1/3数の以下までみなせる。(子育て支援員等。)

1は簡単なんで説明する必要ありませんが、2〜4は少し補足説明しますね。

朝と夕方に1名保育士とみなす場合

例えば、8時前や20時ごろだと、子供が2〜3人しかいない保育園も少なくありません。

こういう場合、必要職員数を計算すると1名になります。

しかし、元々の職員配置基準には、”子供が少なくても常に2名以上の保育士を配置すること”という決まりがあります。

最悪、夜に子供1人しかいなくても保育士を2名配置しないといけないので、これは流石にちょっと無駄な気もしなくもないです。

仕事も片付けなどが多いですし、この業務を保育士にやらせる必要はないとも思えます。

そこで、特例で、”保育士+みなし保育士の2名でもOK”となった訳ですね。

幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭をみなす場合

これらの資格は子どもと接するプロということで、保育士に近い能力があると考えられ、保育士にみなすことができます。

しかし、みなしまくって、本当の保育士がいないというのは出来ません。

よって、その時間帯に必要な保育士数の1/3がみなせる上限となっています。

*配置するスタッフの数は、時間帯ごとに常に計算する必要があります。

児童定員に対する保育士以上を採用する場合

これは少し表現が難しくて困りましたが、イメージとしてはこんな感じです。

定員60名の保育園で、職員配置基準の通りに計算して保育士が10名必要だとすると、11名からは子育て支援員等を雇って保育士とみなして良いよ。

ということです。

保育園は、11時間開所しているなど、長時間空いています。11時間労働なんて出来ませんから、シフトで動いています。

しかし、配置基準の通りに計算した保育士数だけでは、保育もシフトが回らないんですね。

0歳3人と1歳6人いる場合、配置基準上は保育士2人で良いですが、これを2名で回すとなると地獄ですから、追加で保育士を配置するのが普通です。

そもそもの配置基準は最低基準だと思ってください。

というわけで、”追加で配置する職員”については、子育て支援員等でみなして良いですよということになりました。

みなし保育士導入で保育の質はどうなる?

「保育の質が下がる!」ってみんな言いますが、さてどうでしょうか。

保育士不足の深刻な保育園は、0歳3人と1歳6人を、本当に保育士2名で回してたりするんですよね。

これは基準は満たしてますし、保育士率100%ですが、保育の質が良い訳ありません。

それどころか、「保育士・子ども共に命の危機」と言っても過言ではありません。

こんな状況では手も足りないし、目も足りないし、体力ももたないです。

でも、保育士を募集しても来ないから、どうしようもない…?

それなら、3人目にみなしでもいいのでスタッフを増やした方が良いですよね。

保育士だけでギリギリの人数で回しても保育の質は悪くなるので、みなし保育士を否定するのはオカシイでしょう。

とにかく、目や手があるだけマシということです。

もちろん余分に配置する職員も本当の保育士の方が良いのは言うまでもありませんが、このご時世ですから保育士がいなくてどうしようもない保育園も結構あるんです。

おわり

みなし保育士を使わす完全に全員保育士で運営している保育園もたくさんあります。

保育士不足と言っても、ちゃんとしてる保育園には保育士集まっちゃってますからね。

この特例はあくまで、保育士に負担がかかりすぎて、保育の質が下がってしまったから、止むを得ずできた特例ですからね…。

ただ、基準の保育士に加えて、保育補助や用務員的に追加でスタッフがいるのは素晴らしいことですので、保育士じゃない人がいる保育園だからオカシイってことはありません。

みなしでも何でも人が沢山いる方が良い。



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