保育園は集団生活ですので、感染症には常に気を配らなければなりません。
特に、保育士が感染源になるというのは、絶対に避けたいところですね。
インフルエンザやノロウイルスのような、毎年冬に大流行する感染症だけでなく、アデノウイルス・おたふく風邪・水疱瘡などなど、様々な感染症に気をつけなければなりません。
今回は、保育園の経営を10年務めた私が、保育士がかかりやすい感染症とその対策、また欠勤すべき日数などについてお話しします。
”元気だから”とか”休めないから”とかで、感染症を保育園に持ち込んではいけません。あなたは元気でも、映った子どもは命に関わるかも知れませんから。
保育士がなりやすい病気
”保育士がなりやすい病気”を検索すると、”うつ”の話が結構多いです。
”うつ”はもちろん避けたいですが、ここでは感染症に関してお話ししていきます。
保育士のうつ病に関しては、別に記事を用意してますのでそちらを確認してください。
▶︎▶︎保育士はうつ病になりやすい?|病気になる前に”転職・異動・休暇”を…!
それでは、保育士がなりやすい感染症について、見ていきましょう、
- インフルエンザ
- 百日咳
- 麻疹
- 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
- 風疹
- 咽頭結膜熱(プール熱・アデノウイルス)
- ノロウイルス
保育士さん、つまり大人でもかかる感染症というと、この辺りでしょうか。
都会で電車通勤して保育園で働いていれば、どこで何をもらってくるか分かりません。
ここに書いた感染症は、五類感染症と言い、感染症法で定められています。
(ちなみに、学校保険安全法施行規則では第二種。子供の出勤停止の話が出るやつです。)
一〜三類感染症については、”感染症法で出勤停止”になるのですが、四・五類感染症については、”労働安全衛生規制で出勤停止のようなこと”が書かれています。
こうなってくると訳が分からなくなってくるので、この一覧の五類感染症の話のみすると、多数の者に接触する業務は出勤停止になります。
よって、保育士がこれらの感染症にかかった場合は、”保育するなら欠勤・事務室で事務仕事するなら出勤可能”ということになりますね。
インフルエンザについては、専用の記事を用意してますので、インフルエンザについてはそちらを確認してください。
▶︎▶︎保育士のインフルエンザ色々|欠勤すべき?期間は?給料は?有休は?
保育士が病気になった時の欠勤日数
感染症法でいう五種感染症、もしくは学校保険安全法施行規則でいう第二種の感染症である、先ほどの病気たちですが、子どもはしっかりと欠席に関する定めがあります。
しかし、社会人には給料という生活を支える大事な収入があり、欠勤すると欠勤控除(給料を引かれる)されてしまいます。
「1万円でも給料から引かれると、支払いができなくなる…!」というような、切羽詰まった人もいる訳です。
よって、多数の者に接触する業務や飲食店でなければ、「本人・業務内容・会社・医者で総合的に判断してね。」ということになっているんでうすね。
ただ、保育士さんの場合、保育をせずに出社するのも厳しいし、保護者や他の職員の目もありますし、何よりいつも疲れてますので、休むことが多いと思います。
さて、と言う訳で、それぞれ何日位休まなければならないのでしょうか?
これ、ぶっちゃけ医者の判断次第ではありますが、目安にするのは先ほどの”学校保険安全法施行規則”です。
◆学校保険安全法施行規則での出席停止日数
- インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。):発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで
- 百日咳:特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
- 麻疹:解熱した後3日を経過するまで
- 流行性耳下腺耳下腺炎:耳下腺、顎下線又舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
- 風疹:風疹が消失するまで
- 咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで
- (ノロウイルス:規定なし。ただし、調理員はノロウイルスが陰性が確認されるまで。)
これ、見たことありますか?見たことないなら、保育士として勉強不足ですよ。
ぜひぜひこの機会に勉強してください。
感染症対策についても、しっかり説明されてます。
厚生労働省▶︎▶︎保育所における感染症ガイドライン(2018改訂版)
とは言え、これは子供についての話ですので、大人は医師の診断に従うことにはなるんですが、一旦この期間を参考にしましょう。
感染症での保育士の欠勤を有給休暇にできる?
病欠を有給休暇にできるかどうかは、保育園の規則次第です。
就業規則等で、1週間前とか2週間前とかに有給申請をするように決められています。
病気の場合は突発的なので、この規則を守れないですから、有給休暇にできません。
「病気の時は例外的に事後申請でも有給休暇に当てられる」という規則があれば、もちろん病欠を有給休暇にできます。
ただ、一つ気にして欲しいことがあります。
”病欠した場合に保育園側が自動的に有給休暇とする”のは、違法性があります。
保育園側にも、有給休暇の日を指定したり、請求された日を変えてもらう権利はありますが、全部を保育園側が決めることはできません。
当たり前のように違法性のある行為をする保育園は、いわゆるブラック保育園ということになります。
保育士が欠勤した場合の休業手当
休業手当って知っていますか?
欠勤の場合、普通は休んだ分の給料が引かれるんですが、会社の命令で欠勤させられる場合、労働者の保護のために”休業手当”を支給しなければならないという法律があるんです。
ネットで調べて、「休んだ分の保証があるんだ!よっしゃー!」と思うかも知れませんが、保育士は”多数の者に接触する業務”ですので、法律で出勤停止になっています。
あらかじめ就業規則で定められている場合も同じです。
つまり、会社の都合で欠勤させられるのではないので、休業手当の支払われません。
ネットで調べただけの中途半端な知識で休業手当を請求すると、問題社員として認定されてしまいます。
昇給や賞与に影響するかも知れませんので、安易に請求してはいけません。
有給休暇を使うか、傷病手当を確認するか、その辺りで対処しましょうね。
傷病手当は毎月払っている健康保険から出るものですから、保育園側の負担にはなりません。ただ、傷病手当の手続きもめんどくさいので、保育園側も嫌は嫌ですけどね。
全国保険協会▶︎▶︎傷病手当
おわり
保育士さんは感染症にかかるのは、もはや避けられないですよね。
体調管理・自己管理は社会人は全員仕事のうちです。特に、保育のプロである保育士はなおさらです。
手洗いうがいの基本は、欠かさずしっかりと行なってくださいね。そして、インフルエンザは予防接種も受けるようにしましょう。