日本の行政さん達は、「潜在保育士がどうすれば保育園に戻って来てくれるのか?」ということに頭を悩ませています。
(潜在保育士というのは、保育士資格を持ってるけど保育現場で働いていない人)
ザックリ言いますと、160万人の人が保育士資格を持っていますが、保育士として働いているのは60万人くらいです。保育士さんの半分以上が保育士として働いていないのです。
ほとんどの人が保育園で働かなない保育士資格ってなんじゃ…笑
保育士不足は相変わらずの世の中ですし、保育士資格を持っている方を大歓迎しているのは変わりません。
もしこんなことを少しは思っている場合は、復帰を検討してみては?
・育児が落ち着いたから復帰しようか…でも早番遅番土曜は無理だけど大丈夫かな?
・保育士試験で資格取ったけど、実際に保育園で働くとなると不安…
・保育現場から離れてブランク長いけど、国家資格は保育士くらいしか持ってないし、活かせるなら活かしたい!
つまりは…
最近の保育業界はどうなのか知りたい!
ってことですよね?
では、いきましょう!
結論|潜在保育士の需要はありありで、有利に立ち回れるし、潜在保育士が復帰するだけで世の中は変わるから復帰してください!
まあ、もうこれだけのことなんですけど、細かく話していきます。
まず、需要を数字を交えて説明して、保育業界の様々な問題は潜在保育士が復帰するだけで解決する話。
そして、復帰する潜在保育士は何を考えているのか?復帰を躊躇する理由は?この辺を説明。
次に、復帰するに当たって気を付けること。
最後にロードマップ。
こんな感じで話していきます。
潜在保育士の人たちに保育業界の命運がかかっていると言っても過言ではありません。
未経験やブランクありの潜在保育士の需要
まず「未経験だったり潜在保育士に需要あるの?」というところから行きましょう。
これは保育士不足なので需要があるのは分かると思いますよね。
どれくらいの需要なのか数字で言います。
保育士の求人倍率
令和4年10月の保育士の求人倍率は2.59倍でした。
求人倍率が1倍なら、1人辞めたので1人補充できて、特に何事もない世の中というイメージです。
令和1年(元年)をピークに下がってきています。保育士は毎年増えていきますが、保育園の数は昔ほどの勢いでは増えていませんし、そもそも少子化ですし、待機児童問題も終わりに向かっていますからね。
さて、求人倍率が約2.5倍ということは、1人を2.5園が取り合っている訳ですので、1人辞めて1人補充すらできない園が1.5園あるみたいな感じです。
保育園は保育士確保が大変なことが分かります。
需要ありありですね。
保育士は全部で何人必要なのか?
これは試算ですが、平成29年の厚生労働省のデータでは、必要な保育士数が約46万人に対して、働いている保育士は約37万人で、約8万人の保育士が不足しているという状況でした。
今は60万人働いていると書きましたが、あれは保育士として働いているだけで、保育園で働いている訳ではないです。
とは言え、求人倍率が令和1年(元年)をピークとしているとしても、今は平成29年より求人倍率は低いので、8万人ほどの不足ではなくても6~7万人が不足していると思われます。
つまり、潜在保育士が10分の1でも復帰してくれたら一瞬で解決しちゃう。
それだけで解決するんだから、潜在保育士カムバックキャンペーンでもしたくなりますよね。
じゃあ「私みたいな保育士は需要あるの?」
需要はありありだとしても、それは普通に正社員として働く現役の保育士の話じゃないのかと思うところでしょう。
私は保育士ですし人事もやってましたので分かりますが、もちろん”早番・遅番・土曜”に出勤できる昔ながらの保育士がベストです。
ただ、求人倍率で分かる通り1人を2.5園が取り合っている訳です。小数点だと面倒なので2倍にすると、2人の保育士を5園が取り合っている訳です。
2園は退職者の補充に成功しても3園は補充に失敗するという感じです。
ということは、the”昔ながらの保育士の確保”に失敗したら、そうじゃない保育士でも採用するか検討するに決まってます。
ただ、非常勤(週30時間未満)だったり、早番も遅番も土曜も全部やらないとなると、採用される可能性が減り始めることになるでしょう。
まあ、自分の要求に全園が答えてくれるというほど甘くはない訳です。
ただ、面接前に「こういう働き方なら復帰できるんだけど大丈夫ですか?」って聞く分には全然問題ないです。
ホームページから問い合わせすればOKですよ。
なぜ潜在保育士が復帰を考えるのか?
未経験でも似たようなものですが、たくさんの方に面接やら面談やら相談で伺った感じからすると下記の通りです。都内の話になります。
- 処遇改善と宿舎借り上げ支援事業(家賃補助)で結構給料が良くなっている
- 子育て経験を活かして更に良い保育がしたくなった。
- 他の仕事をしてみたがやはり子どもと関わりたい。
- 国家資格が保育士しかないので、他の仕事だと給料がさらに安い
宿舎借り上げ支援事業は月82,000円分の家賃補助ですので、めちゃくちゃデカいです。
82,000円が手取りになっているのだから、給料的には10万以上アップしているのと同じです。
そして、ちゃんと探せば年収350万の求人もありますので、実質年収は470万円です。
これより年収が低い仕事は山ほどありますよね。
もちろんもっと給料が高い仕事もありますが500万以上になってくると、結構大変な仕事になってくると思います。営業や役職がつくのでノルマや責任があったりすでしょう。
宿舎借り上げ支援事業が使える場合は、正直なところ今の保育士はそこそこ魅力的です。
そして何より、私も出世しても人事部に異動になっても、保育の現場には入りたくなっちゃいます。
やっぱり、子どもは可愛いし、保育は楽しいんですよね。
潜在保育士が復帰に躊躇する理由
普通にまだ若くて、他業種を経験して一般的な保育士として復帰する分には、給与も高くなってきているし、早番遅番土曜もできるなら特に問題ないでしょう。
ただ、そればかりではないです。
- 純粋にブランクで活躍できるか心配
- 保育園独特の人間関係で悩みたくない
- ブラック保育園に引っ掛かりそうで不安
- 早番遅番土曜が出来ないと交渉するのが嫌
1と2については、次の部分で説明します。
ブラック企業について
ブラック企業は、求人票だけでは見抜けませんし、転職エージェントも人事担当からヒアリングしてるだけで分かってないことが多いです。
求人票だけで言うと、ホワイト企業の方が悪そうに書かれていることも多いです。ホワイト企業は自信がありますし、ミスマッチするのが時間の無駄なので、内容を正直に書きます。なので、内容が厳しく見えることもある訳です。
アドバイスとしては、ふわっとしてたり内容が結局分からない求人票はダメです。まともな会社だったら、人事が最も重要な仕事だと分かっていますので、求人票をテキトーに書く訳ないんです。
まともな会社だったら「求人票はテキトーでも面接で説明するから良いじゃん」なんて思いません。
面接はお互いの貴重な時間を使う訳ですから、ミスマッチしないように事前に努めるべきです。
働き方の交渉について
次に、早番遅番土曜が出来ないなどの交渉するのが嫌という話。
こういう場合はパートを検討されているのかなと思いますが、正社員の時短などもあります。
時短とは育児介護で週40時間労働を週30時間に短縮する制度です。
これは前述の通り保育園のホームページでその旨を問い合わせればOKです。
早番遅番土曜が全部できないという場合は少し厳しくなりますが、どこにも相手にされないという訳ではありません。
もし早番遅番土曜のいずれか一つでもできるとかなり良いです。
早番固定または遅番固定の求人もありますし、たまにでも土曜に入れると言われれば他の一般保育士の負担軽減になりますので、歓迎されることはよくあります。
また、求人票を出しての募集はしていなくても、来てくれるなら考えようと思うことは普通にあります。
なので、保育士不足で保育士は有利ですから色々聞いちゃってOKです。断られることもあると思いますが、無駄な面接をするより事前にミスマッチを防ぐ方がwin-winです。
つまり、交渉ではなく「こういう働き方したいけどアリですか?」って単に聞くだけってことです。
潜在保育士の復帰に向けての心構えと準備
先ほどの、”ブランクによるスキル低下の不安”と”保育園ならではの人間関係の不安”が、復帰を躊躇させている理由としてありました。
ブランクでスキルが心配な場合
単なるブランクについては、事前にリハビリなどをする必要はありません。強いて言えば、最近話題の不適切保育の知識を入れておくくらいで充分です。
なぜなら過去に数年間保育士や幼稚園教諭をやっていたのなら、すぐに動けるようになるからです。安心してください。
ただ、ブランク有でも経験者の場合は、完全な未経験より期待はされてしまいますし、ブランクはあるけど経験のある方は、新米保育士のような動きを期待されていない場合が多いので、昔の勘を取り戻したら新米以上の仕事をお願いされると思っておいた方が良いです。
元々たいした経験がない場合は、正直に面接時に言っておき、新米同然に扱って欲しいと伝えましょう。
また、正社員なら任される書類や製作物は増えていくでしょうが、正社員なら当然ですので嫌がってはいけません。ただ時短の正社員の場合は時短の範囲内で出来ないものは園長に相談してください。
パートの場合は、予めできる仕事とできない仕事を申し出ておきましょう。
人間関係が心配な場合
人間関係の問題でストレスを受けるのは、全業界同じです。
調査によっては、給与や業務量の問題が退職理由のトップに来ることもありますが、人間関係がトップ3から落ちることはほぼありません。
そして、上司との人間関係が悪い場合、退職する以外に改善策がないため、特に上司との人間関係が重要です。
先輩や同僚との人間関係が問題の場合は、上司に相談できて、まだ改善可能性がありますが、上司が変な人だったらもう終わりな訳です。
面接では園長とは会える可能性がありますので、そこで見極めるしかありません。
面接をする側も応募者を一発で見抜くのは無理ですから、みなさんも園長を一発で見抜くのは無理でしょう。
更に、保育園だと更に特殊でして、職員関係だけでなく保護者との人間関係もあります。
そして、保護者は一般企業の客と違って、親身に接する必要があり、しかも長期的に付き合わないといけません。
更に、認可保育園だと「ウチでは受け入れられないので契約解除します。」みたいなことが出来ません。
残念ながら入ってみないと変な人がいるかどうかは分からないものです。ただ、それは他業種でも同じです。
ただ、現場で見ていると人間関係が問題になる人は、自分で人間関係を悪化している人も多いです。
やはり、うまく立ち回れる人とイチイチぶつかる人では、ぶつかる人は人間関係が悪くなります。
また、仕事ができる人と仕事ができない人では、仕事ができない人は人間関係が悪くなります。
そして、やる気がある人とやる気がない人でも、やる気がない人の方が人間関係が悪くなります。
さらに、明るい人と暗い人でも、暗い人の方が人間関係が悪くなります。
要は、嫌われる人が人間関係の問題を抱えるのは当然だということです。
そこで、少なくとも上司との人間関係が悪くならないように、上司には良い顔しておくのが大事です。
「パートなんでやりません!」「権利なんで!」「法律なんで!」
とか言ってたら、上司に嫌われるのは当たり前です。
上司に嫌われないように言い方を考えましょう。
つまり、主張するのではなく、相談ベースにしようってことです。
人間関係はコミュニケーションスキルで改善します。
そして、コミュニケーションスキルは保育業界だけでなく全業種で必要で、更にIT業界みたいに必要スキルの変化が早いこともなく、普遍的で不変的なスキルです。
身に着けましょう。
潜在保育士がスキルを活せる超絶有利なポイント
潜在保育士が基本的に持っているであろうスキルは、下記のいずれかでしょう。
- 保育業界以外の経験
- 子育て経験
- 介護の経験
- 主婦の経験
保育業界以外の経験、つまり別業界ということですが、例えばPCスキルだったり、接客スキルを保護者対応で活かすなど、何かしら活きます。
大事なのは、他業種の経験は本当に活かせると思うことです。せっかくの経験があるのに、他業種だから使えないと思考停止しないようにしましょう。
そして、意外と大きいのは、働き方です。
保育士の働き方は少し特殊な上、他業種経験のない保育士は結構多いものです。他業種を知らないのに保育業界の文句を言ってる人が多いです。
当然ですが、他業界より保育業界の方が良い部分もありますので、それを教えてあげて欲しいと思います。
例えば、「ノルマがない」「セクハラやマタハラがない」「言うほど残業は多くない」などですね。
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子どもがいなくて保育士しかしていない人は、一般企業で働いたことがない保育士さんなど、基本的に保護者の気持ちが肌感覚では分かりません。
いくら知識があっても実体験には敵いません。
もちろん、育児と保育は別ものですので、保育士は保育のプロですから子どもがいない保育士が劣るということは全くありません。
ただし、夜泣きで悩むとか、晩御飯で悩むとか、夫が役に立たないとか、そういうことを肌感覚で分かる子育て経験のある保育士は、保護者の良い相談相手となるでしょうし、信頼はアップするでしょう。
例えば、保護者の悩みを聞いて、子育て経験のある保育士だと「そんなもんですよ~。私もそうでしたし。」で済んだりします。
もちろん、子育て経験のない保育士にも教えることができます。
潜在保育士が復帰する際の小技
まず、早番遅番土曜ができる一般保育士として復帰する場合は、特に小技を使う必要はありません。単に、「ブランク有だから慣れるまでは補助でお願いしたい。」とか、自分の状況や希望を事前でもいいし面接時でも良いので伝えるだけです。
パートや時短や固定時間で復帰する場合でも、一気に優遇される可能性が上がるのは下記です。
保育園や保育園運営企業のホームページから応募・問い合わせをすること。
前述もしましたが、ホームページから応募することはとんでもなく有利になる場合があります。
ちょっと要望がある場合は、アホみたいにCM打ってるような、転職サイトや転職エージェントは使わない方が良いです。
何故かというと、CM打ちまくってるということは儲かっているということです。
そして、CMを打つのはめちゃめちゃお金がかかります。
つまりそういうところは、保育園や企業側からめっちゃお金を取っているということです。
転職サイトや転職エージェント同士で比較する場合は、優良の可能性があるので儲かってる方が良いですが、ちょっと要望ありの復帰の仕方の場合は、かなり不利になります。
応募課金型の転職サイトであなたを採用すると、安くても成果報酬で数万~数十万かかります。短時間のパートなら5~15万、30時間以上のパートなら30万程度になります。
転職エージェントに至っては、年収の30%とかになりますので、年収300万なら90万円の紹介料がかかります。
こんな高額な採用コストを払うなら、普通の保育士正社員が欲しいですし、早番遅番土曜が出来る人が欲しいですよね。
よって、何かしら要望を出すなら、保育園側にコストがかからないようにしてあげないと、相手が可哀そうですよね。
これから雇ってもらう保育園に打撃を与える必要はありませんので、コストのかからないホームページから応募するのが超絶おススメな訳です。
それでも転職エージェントを使いたいということなら、この記事も参考にしてください。
それでは、今回はこの辺で終わります!
良い転職を!